伯耆流居合術 士貫流捕手剣法 日新館 

団体設立趣意書


武とは二つの戈が止むと書く会意文字です。ゆえに武は殺伐なものではなく、神武不殺であり、天下事無く平和であることが武の理想であると確信しております。各武術の流祖は皆、これに行き着き、その理想を業という「形」にして込められたと思います。しかしながら現在は、各流が集まり組織をつくり、他流が他流を審査するという理解に苦しむような昨今の武道界であります。それぞれの武術の、それぞれの流儀には、理に適った特色があることは、誰もが認めるところであります。にもかかわらず、数の論理で各流の特色を殺し、統一化するという愚行はまことに許しがたい所業であり、先人たちへの冒涜でもあります。正しい流儀の保存と伝承は、習う者の使命と自覚し、時流に流されることなく伝えていかなくてはならないと思います。
業(武術)は、軍事的な資質を持つことは周知の通りですが、それは形稽古の中に、戈止みの理想と同時に組み込まれています。戈止みの武術の形を、泰然と披露し、各流派の特色たる業を殺すことなく古(いにしえ)からの武術を伝承する場を設けると同時に、真の武術の伝承に賛同し参加てくれる老若男女を増やさなくてはいけない、との強い想いの下、団体の設立を決意しました。
さらに、今一度武士道というものを考えるならば、武士道の精神は、孔子が説いた「仁・義・礼・智・信」が源流です。その武士道精神の基本は「義」と「礼」だと考えます。
「義」を疎かにして武士道は成り立ちません。「義」とは、孟子のいう、「自ら反みて縮からずんば、千万人といえども吾往かん」の精神です。
また、「礼」とは、「自分より目上なる人を敬い、目下なる人をも卑しめず、あなどらず、我が身をへりくだりて人に誇らず、奢るなきこと」を「礼」といいます。その、「礼」という本来の意味を理解していない武道人が多々存在しています。先に述べた数の論理で他流の特色を殺すということは、まさにこの「礼」を忘れたがための行動といえます。
我々は「義」と「礼」を貫く団体でありたいと思います。
以上のことを考えて、我々はここに総武道伝承連合会という新しい団体を作る決心をした次第であります。

団体設立発起人代表 伯耆流居合術十四代限沖本一雄(総武道傳承連合会会長)
発起人 禾眞流聡武道刀技居合道宗家 井上英樹(総武道傳承連合会副会長)
発起人 養心流柔術 上久保方視
発起人 士貫流捕手剣法宗家 柳川満信